AIで定量調査を深掘ってみた(冷凍食品Deep Dive編その2)

(前回のその1 https://x.gd/J8ieC からの続き、生成AIのClaudeを使ったアスマーク社の冷凍食品定量調査結果の分析深掘りと私の感想です)

4)各質問間のコレスポンデンス分析

  • 私からClaudeに聞いたポイント:『クロス分析以外の、例えばQ4の購入時の重視点のコレスポンデンス分析などはできますか?Q2-2の回答や性年代も同様の分析で比較すると何か傾向が見えたりする可能性はありますか?』
  • Claudeからの補足説明:
    • コレスポンデンス分析は、簡単に言うと「クロス集計表全体を1枚の地図にする」手法です。今まで見てきたような「この層はこの項目が何%」という数字を1つずつ比べるのではなく、全部の数字を一度に使って、似た傾向を持つもの同士が地図上で近くに配置されるようにします。近くにあるほど「結びつきが強い」という意味になります。

(以下Claudeが自主的に選んだものも含む、主なコレスポンデンス分析とClaudeによるポイント説明)

  • Q4(重視点)× 性年代
    • 男性40〜50代は地図の下側で「価格が安い」「内容量が多い」と近くに位置しており、コスパ重視という色付けがはっきり出ています。
    • 女性30〜50代は3つともほぼ同じ場所に固まって位置し、「同居者が好きそう」「国内生産」「栄養バランス」に近い側にいます。今までの分析でも近い傾向は見えていましたが、女性30代・40代・50代が「ほぼ同じ購買基準を持つ一つの塊」として visually にまとまったのは新しい見え方です。
    • 男性20〜30代は「包装コンパクト」「好きなブランド」に近く、これは今回の地図で初めて見えてきた組み合わせです。
    • 「特にない」だけが他のどの層からも大きく離れた場所(左上)にあり、特定の層に結びつかない、浮いた回答であることが分かります。
  • Q2-2(一番よく買う商品)× 性年代
    • 「炒飯/ピラフ」は男性30〜40代に近く、以前のレポートにあった「炒飯/ピラフは男性に多い」という結果と一致します。
    • 「餃子」「カット野菜等」「フライ/カツ等」は女性40〜50代・男性50代に近い側にまとまっています。
    • 男性20代だけが地図上でかなり孤立した位置(下)にあり、他の層と比べて「一番よく買う商品」の好みが分散していて、一つの決まった商品への集中度が低いことが示唆されます。
    • 注意点:シューマイ・グラタン/ドリア・洋菓子類・ハンバーグなどはnが5〜18人と少なく、地図上で離れた位置にありますが、これは誤差の影響が大きいための “ブレ” である可能性が高いです(薄い色で表示し、参考程度としています)。
  • 重視点(Q4)と一番よく買う商品(Q2-2)
    • 再現率が42.4%と他の地図(70〜90%台)より大きく低く、この2軸だけでは元データの関係の半分以上を捉えられていません。断定的な解釈は避けるべき結果です。
    • 大半のQ4項目・Q2-2商品は地図の中心付近に密集しており、「重視点」から「どの商品を一番買うか」を強く予測できる明確な組み合わせは見当たりませんでした。
    • 目立って離れているのは「その他」(Q4)と「シューマイ」「グラタン/ドリア」「洋菓子類」(Q2-2、いずれもn<30)で、少数派・特殊な回答という位置づけです。
    • つまり「何を重視するか」と「結局どの商品を一番よく買うか」は、想像するほど強くは結びついていない、という発見です。
  • 購入商品(Q2-1)と利用目的(Q3)
    • 「昼食主食」は「パスタ」「うどん(具付)」「炒飯/ピラフ」に、「夕食主食」は「うどん(麺のみ)」「グラタン/ドリア」に近く、主食系商品と食事利用がまとまっていました。
    • 「弁当おかず」「おかず一品」は「餃子」「ハンバーグ」「フライ/カツ等」「シューマイ」に近く、“お弁当・おかず系”として1つのグループを作っていました。
    • 「間食おやつ」は「洋菓子類」「和菓子類」に、「朝食主食」は「たこ焼き等」「焼きおにぎり」に近く、それぞれ独立したグループに分かれていました。
    • 「調理素材」は地図の右端に大きく離れ、「カット野菜等」との結びつきが非常に強い一方、他の利用目的・商品とはほぼ関係がない独立した使われ方でした。


終わりに

「定量調査は、ローデータを色々組合せると今まで気が付かなかった発見もあるのでは」と思いつつ、膨大なデータの中から特徴のある傾向を探し出すという「発見」に至るまでの労力・時間・気力(=ほとんどの組合せはあまり意味がなかったり統計的に有意ではなかったりすることにメゲずにやり通すこと)を考えるといつも二の足を踏んでいたのですが、
「こんなに有能で仕事が早く、痒い所に手が届くアシスタントがいる!」
と感じた、というのがこのDeep-diveを行ってみた感想でした。
※もちろん、上記の主な発見や気づきは、パワーポイントのフォーマット(修正・書込み可)で以下のように他の人にもわかりやすく説明できる形で作成してもらいました


なお、個人的な意見・感想ではありますが:

  • ちょっと前まで言われていた「ペルソナの設定(生成AI側がどのような役割と個性を持っている設定なのかを決めておくこと)が重要」はもうあまり必要ない?
    • 今回も、アスマーク社のアンケート調査のPDFレポートとローデータを添付し、最初の依頼のPromptを入力しただけで、Claude側は自分の立場や役割を瞬時に把握し、変な回答をすることはありませんでした。まさに日進月歩どころか「秒進分歩」、と感じています(Geminiにも同様の傾向があり、逆にGem設定をすると設定内容の如何にかかわらず変に意固地になったり余計な提案なども多くなるため、最近私はGem設定やプロンプトによるペルソナの記載はしていません)
  • GeminiよりもClaudeが好きかも
    • どちらも有償版の一番下のレベルなので、もっと金額の高いバージョンを使うと違うのかも知れませんが、今回の案件に限らず、個人的にはGeminiはキャラクターとして「『ほら、私ってスゴイでしょ』という『承認欲求』が高く、一見こちらの機嫌を取っているようでありながら何かと『マウント』したがり、余計な意見・見解・分析や勇み足も多い」傾向がある気がします(これはGem設定をどのように変えても変わらない傾向なので、Gemini固有の「性格」なのかもと思っています)
    • 一方Claudeは、同じく今回の案件に限らず「Promptの裏にある意図もしっかりくみ取り、決して出しゃばり過ぎず、かといって余計なヨイショも少なく、『優秀なアシスタント』的な位置付けをしっかりと理解・認識し、かつその分析や提言に深みもある」と感じていて、ここ最近は写真やイラストなどのイメージ作成(機能が付いていない)以外はもっぱらこちらを使うことが多いです。なお、重要案件や時間があるときなどに、同じPromptでGemini・Claude(&ChatGPT)でどのように回答が異なるか、という比較・確認をしたりすることはあります
    • またClaudeは、パワーポイントやエクセルなどの形式で、こちらが自分達で修正できるフォーマットでも出力してくれる、というのはドキュメントを作成する側としては本当に助かります(現時点ではGeminiはパワーポイント作成はできるものの中味はPDFを張り付けているものなので修正できず、いちいち手間がかかってしまいます)
    • ただし、私が契約しているClaudeは容量が決まっていて、たくさん頼むと「利用制限に達しました ∙ リセット時刻:XX:00」という表示が出て、追加料金を払わない限りはそこまで待たなければならない、という状態が起きます(パワポをたくさん作る、というような文字だけでない制作を要する案件は使用量が多く、利用制限表示が出やすいように感じています)
    • 一方で、GeminiはPromptを入れてから回答・出力までのスピードが圧倒的に早いので、急ぎの案件はGeminiで対応しています
    • また、写真のイメージや動画、イラストなどの作成機能はClaudeにはないので、それはGeminiで、と使い分けています
  • (参考)「クラスター分析」は要注意
    • 生成AIの話ではありませんが、調査会社などによっては、自社で設定した「クラスター」(消費者の行動や思考などによって性年代とは違う「グルーピング」をすること)を様々な定量調査の結果にあてはめて「この設問に対して高く反応したのはクラスターX」「このカテゴリー・案件はこのクラスターがカギ」等というような分析をされているところがあります。
    • もちろん、そのクラスターが当該案件や調査の質問自体から作られたものや、その案件が属するカテゴリーを基に作られたものであればまだ良いのですが、一般的な「トレンドに敏感」「地球環境への意識が高い」などの軸で作られたクラスターを全ての案件にあてはめている、というものに対してはちょっと疑問を持っています。
    • 例えば、「トレンドに敏感」といっても、
      「自分のお気に入りや重要視するもの(例えば洋服やスイーツ、推しなど)には敏感でも、普段の食品を買う時はPB商品も選んだりする」
      という人も多いでしょうし(しかもそれがどのカテゴリーを重要視する・しないの組合せは無限大に近い)、
      「地球環境の意識が高い」
      からと言って、自分に関わる全てのアイテム(食品・服・住居・エネルギーなど)で価格やイメージなどを差し置いて地球環境への配慮を一番重視して決定・行動している、という人はなかなかいないでしょうし、配慮するアイテムはその人によって異なっているように思います。
    • なので、こういう定量調査の深掘り、Deep-diveにおいては、そのようなクラスター分析もいいのですが、それよりもこの設問間に存在する関連性から見えてくるものを大切にしていく、ということに重点をより置くことを個人的にはおススメしています。

ご意見や質問などあれば、キリクチ鈴木(suzuki.taku@kirikuchi.co.jp)までぜひ!

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